アクティヴ型スピーカーシステム考(その3)
メリディアンのDSP8000 XEで聴いた音楽のほとんどはTIDALを使ってだった。
CDは最初の一枚だけで、それからのほぼ四時間はすべてTIDALにあるアルバムを、
それもMQAで配信されているアルバムをメインに聴いていた。
ひとつのスピーカーを、じっくり聴ける機会にTIDALは、実にいい。
以前のようにCDもアナログディスクの持参となると、枚数が限られてしまう。
短い時間の試聴ならば、限られた枚数でもかまわないけれど、
じっくり聴けるのであれば、それだけの枚数を運ぶのは、楽なことではない。
それに、あるディスクも持ってくればよかった──、そう思うことも必ずある。
TIDALならば、ほぼそういうことはない。
いい感じで鳴ってくれているのであればあるほど、あのアルバムは、とか、
このアルバムのあそこのところは、という興味が次々とわいてきて、
聴いている時間は長くなっていくばかり。
TIDALとDSP8000 XEとの四時間は楽しかった。
あれこれ聴きたいとおもったアルバムを聴いての四時間が終ったあとに思っていたのは、
瀬川先生がK+HのOL10について書かれていることだった。
《ほとんど完璧に近いバランス》、
私はOL10を聴くことはできなかったけれど、
もし瀬川先生が生きておられて、DSP8000 XEの音を聴かれたら、
やはり《ほとんど完璧に近いバランス》にいわれたのではないだろうか。
私の場合、クラシックが主になるけれど、それでもさまざまな曲、
さまざまな録音を鳴らして、破綻を感じることはなかった。
ただ単に破綻を感じさせないだけの音ならば、
少しの時間、聴いていると飽きてしまうことがある。
次から次と聴きたいアルバムが浮んでくる、ということはまずない。
DSP8000 XEはそうではなかった。
音楽を聴くのが、ほんとうに楽しい。
そういう時間をおくれるスピーカーシステムである。