老いとオーディオ(とステレオサウンド・その19)
レコード芸術継続の署名は、先ほど確認したら2,980人だった。
四日前の夜の時点で2,500人だったから伸びは鈍化している。
レコード芸術の休刊が発表になった日の、
ソーシャルメディアではかなり話題になっていたけれど、いまの時代、
すぐに次の話題に移っていくだけのことだ。
レコード芸術は創刊70年ほど。
老いていっているのかといえば、確かに老いているといえるけれど、
老いていくことと、(その18)で指摘したゾンビ化は、同じではない。
問題としたいのは、雑誌のゾンビ化である。
いま書店に並んでいるレコード芸術 4月号の特集は「その輝きは色褪ない──神盤再聴」だ。
神盤。
わかりやすくはあるけれど、レコード芸術にしては安直すぎないか、と思うところはあるものの、
企画はしてはおもしろいと感じたが、残念ながらそこまでだった。
特集でとりあげられているのは、
リヒター指揮のマタイ受難曲(1958年録音)、
カルロス・クライバーのベートーヴェンの五番と七番など、十枚である。
「その輝きは色褪ない──神盤再聴」を眺めていてまず思ったのは、
順番が逆だろう、である。
何の順番かといえば、レコード芸術恒例の名曲名盤との順番である。
「その輝きは色褪ない──神盤再聴」を、今回のようなやり方ではなく、
もっとじっくりとやった上での名曲名盤を、なぜやらなかったのか、である。