老いとオーディオ(とステレオサウンド・その18)
別項「TIDALという書店(その16)」で書いたことを、ここでもくり返しておく。
きくところによると、レコード会社はサンプル盤を用意していない、らしい。
すべてのレコード会社がそうなのかどうかまでは知らないが、
けっこう大手のレコード会社でも、そうらしい、ということを聞いている。
以前ならば取り上げてくれる雑誌の編集部には、
発売前にサンプル盤を提供することで、発売日前後の号に取り上げられるようになっていた。
それが、いまではどうも違ってきているようなのだ。
さらに貸出用のディスクには通し番号がふられていて、返却が求められるとも聞いていたから、
レコード芸術の休刊に、驚くことはなかった。
レコード芸術を出版している音楽之友社だけの事情というよりも、
クラシックのレコード(録音物)を出しているレコード会社を含めての事情ともいえよう。
レコード芸術継続の署名は、いまのところ2,500人ほど集まっている。
三日前の月曜日の夜の時点では500人ほどだったから増えているけれど、
昨晩からすると増え方はそれほど伸びていない。
どれだけ集まるのかはなんともいえないが、
どんなに署名が集まったところで、継続されるとはとうてい思えないし、
仮に継続されることになったとしても、いずれ近いうちにまた休刊になるはず。
署名を集めるよりも、レコード芸術の名称を音楽之友社と交渉して買い取り、
オンラインのレコード芸術をスタートするためのクラウドファンディングを募らないのか。
レコード芸術だけがそうだというのではない、
いまの時代、多くの雑誌がゾンビ化しているように思えてならない。
雑誌のゾンビ化。
このことに気づかず、目を向けずに、ただ継続だけを主張しても──、である。