ラックス MQ60がやって来る(その3)
ラックスは、なぜLX38としたのだろうか。
SQ38FD/IIIとしなかった理由は、ウッドケースをやすたからではなく、
内部を比較してみるとはっきりすることなのだが、
LX38はプリント基板を要所要所で使い、製造コストを抑えていることがわかる。
SQ38シリーズだったころとはワイヤリングがずいぶん違うし、
製造にかかる時間も手間もずっと合理化されたはずである。
なのでLX38とSQ38FD/II。
どちらも程度のよい中古があったとしたら、どちらがいいかと訊かれたら、
SQ38FD/IIと答える。
内部を見たくなる人ならば、よけいにそうだ。
でも私は、それでもLX38をとる。
五味先生が書かれたことを思い出す。
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最近、復刻盤でティボーとコルトーによる同じフランクのソナタを聴き直した。LPの、フランチェスカッティとカサドジュは名演奏だと思っていたが、ティボーを聴くと、まるで格調の高さが違う。流麗さが違う。フランチェスカッティはティボーに師事したことがあり、高度の技巧と、洗練された抒情性で高く評価されてきたヴァイオリニストだが、芸格に於て、はるかにまだティボーに及ばない、カサドジュも同様だった。他人にだからどの盤を選びますかと問われれば、「そりゃティボーさ」と他所ゆきの顔で答えるだろう。しかし私自身が、二枚のどちらを本当に残すかと訊かれたら、文句なくフランチェスカッティ盤を取る。それがレコードの愛し方というものだろうと思う。
(「フランク《ヴァイオリン・ソナタ》」より)
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レコードとアンプとでは話はまったく同じなわけではないのはわかっていても、
それがいいから必ずしも選ぶとはかぎらない。
ステレオサウンドの「世界のオーディオ」のラックス号の171ページに、
製品の型番のアルファベットについて書かれている。
それによると、
プリメインアンプはSQとL、
コントロールアンプはCLとC(旧製品はPZとPL)、
パワーアンプはMBとMQとM(旧製品はMVとMRとMA)、
チューナーはT(旧製品はWZとWLとVL)、
スピーカーはLX(旧製品は〜Hと〜CとS)、
プレーヤーはPD(旧製品はP)、
キットはKとA、
となっている。
1975年時点で、LXはスピーカーにつけられる型番だった。
それがプリメインアンプに移っている。
LX38は1978年に登場している。
それ以降、ラックスからスピーカーが登場していないのかというと、そうではない。
MSから始まる型番の製品がいくつか出ていた。