Date: 4月 1st, 2011
Cate: 録音
Tags:

ショルティの「指環」(その14)

「天性の童心」をもつマーラーの裡で鳴っていた「音楽」、それに「音」とはどういうものだったのか、
聴き手は、指揮者の解釈を俟つしかない。

交響曲第6番の大太鼓の強打音に不満をもち、お手製の楽器をもちこんだマーラー。
しかも一度で懲りずに、次の演奏会場にまで運んでいるマーラー。
そのマーラーが、貪欲に求めていた、彼の音楽のために必要な「音」とは、
果して、かれが 生きていたころの現実の楽器で、実現できていたのか。

従来の大太鼓のほうが、ずっとまともな音をだしたにも関わらず、
マーラーはあきらめていない。

そんなマーラーが、交響曲第2番の冒頭で求めていたのは、
もしかするとショルティがレコードにおいてのみ実現できた音だったかもしれない。

つまり、言いかえればマーラーが貪欲に求めていた「音」は、
ナマの演奏会では実現できずに、録音という手段を介することで実現できた、ということになる。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]