Date: 6月 4th, 2021
Cate: 使いこなし
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セッティングとチューニングの境界(その25)

この項を書いていると、以前書いたことをまた書きたくなってくる。

いまから十年ほど前のステレオサウンドに、短期連載で、
ファインチューニングとつけられた記事が載っていた。

その記事の内容そのもののことではなく、
あくまでもタイトルのことである。

チューニングとついている。
けれど、記事の内容は、どこまでもセッティングである。
ファインセッティングというタイトルだったら、わかる。

けれどファインチューニングである。
誰がつけたタイトルなのだろうか。

担当編集者なのか。
一般的にはそうである。

だとしたら、この記事の担当編集者は、
セッティングとチューニングの違いがわかっていない、というよりも、
違いがあるとも思っていないのだろう。

この担当編集者は、井上先生の試聴に立ち合ったことがないのだろうか。
ないのであれば、しかたないかも……、と思わなくもないが、
それでも十年ほど前に、ステレオサウンドに井上先生の試聴に立ち合った人は、
もういなかったのか。
一人ぐらいはいたように思うのだが。

いたとしても、その人も結局はセッティングとチューニングの違いなんて、
考えたことがなかったのだろう。

考えていたとして、ファインチューニングのタイトルに、何の疑問を抱かなかったとしたら、
井上先生の試聴から何も学んでいなかった。

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