Date: 5月 8th, 2021
Cate: 中点
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中点(消失点・その2)

たとえば、こんなことを想像してみる。
ラジカセぐらいの大きさのモノで、
これ一台で、素晴らしい音を鳴らしてくれる。

サイズはラジカセ程度なのに、音の左右への広がりは大きく、
奥行きも見事に再現する。

すべての音をあますところなく、本来あるべき姿で鳴らす。

しかも、このキカイの優れているところは、どんな使い方をしようと、
常に最高の音を鳴らすことちだ。

高価なラックの上に置くことはないし、
ラジカセのように完全な一体型だから、ケーブルも必要としない。
高価なアクセサリーを何ひとつ必要としない。

電源に関しても、高性能なバッテリー搭載で、
AC電源の質に頭を悩ますこともまったくない。

そんな理想のオーディオ機器があったとしよう。

その一方で、現在のカタチのオーディオ機器がある。
プレーヤーがあって、アンプがあって、スピーカーが必要となる。
しかもケーブルも必要で、ほとんどの機種がAC電源を必要とする。

置き方ひとつで、音が変化する。
ケーブルを変えれば、音は変る。
アクセサリーをもってくれば、そのことでも音は変る。

変らないところがないくらいに、どんなこまかなことでも音は変っていく。
音楽を聴くキカイとしては、不完全といえよう。

ラジカセ程度の大きさで、理想のオーディオ機器と、
いまわれわれが使っている、いわば不完全なオーディオ機器で音楽を聴いて、
前者の、理想のオーディオ機器では視えてこない(聴こえてこない)ことがあるはずだ。

前者が聴かせるのは、モノゴトの結果だけであるからだ。

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