オーディオ評論をどう読むか(その9)
黛 健司氏には、黛氏自身の音の聴き方があって、
瀬川先生には瀬川先生の音の聴き方がある。
同じ聴き方ではないことはわかっていても、
瀬川先生の音の聴き方の影響は、きっとあると私は勝手に思っている。
黛 健司氏の文章は、
瀬川先生の書かれたものをよく読んでいる人のものだ。
瀬川先生の影響を、ふと感じる箇所があったりする。
そういう人だからこそ、どこまで意識されているのかはなんともいえないが、
瀬川先生の聴き方から何も学んでいないということは絶対にないはずだ。
そこを私は読みたかった。
なのに今回の特集で黛 健司氏が登場しない。
編集部はなにを考えての、今回の特集の筆者なのだろうか。
はっきり書けば、ステレオサウンド編集部は黛 健司氏を冷遇している。
そんなことはない、と編集部はいうだろう。
そんな意識はないのかもしれない。
それでも黛 健司氏はステレオサウンド・グランプリの選考委員になれていない。
なぜだろう、と思っている人は私以外にもいる。
山之内 正氏が、そう遠くないうちに、
ステレオサウンド・グランプリの選考委員になることはあるだろう。
そうなっても黛 健司氏は選考委員ではなかったりするのではないか。