世代とオーディオ(朝日新聞の記事・その2)
続きを書くつもりは全くなかった。
コメントがあった。
そこには「焚き火効果」とあった。
この場合の焚き火効果は、
アナログディスクのパチパチというスクラッチノイズが焚き火を連想させる、ということのようだ。
焚き火を連想するから、心が温かくなるのか。
朝日新聞の記事で紹介されている永井公さんは16歳である。
焚き火をしたことはないのかもしれない。
私の世代、しかも田舎育ちだと焚き火はよくやっていた。
家の庭でもやっていたし、学校の中庭でもやった記憶がある。
それこそ焚き火の中にサツマイモをくべて焼き芋にしたことも何度かある。
日常的であった焚き火も、私が高校生になったころには、
火事と間違えられるということもあって、やらなくなっていったし、周りもそうだった。
東京に住むようになって、今年の春でちょうど四十年になるが、
東京で焚き火をしたことは一度もない。
16歳の高校生、横浜市に住んでいる若者は焚き火をやったことがあるのだろうか。
こんなことを書いているのは、彼のなかにある焚き火のイメージは、
実際の焚き火によってつくられたものではなく、
マンガでの焚き火のパチパチと表現される効果音や、
テレビドラマやアニメーションでの効果音などによって形成されたのではないのか。
私も焚き火を最後にやったのはそうとうに昔のことだ。
しかも日常的なことだけに記憶に強く残っているわけでもない。
そんな私は、アナログディスクのスクラッチノイズのパチパチによって、
焚き火を連想することはない。
朝日新聞の記事に登場する高校生が、心が温かくなるのは、
焚き火効果によるものかどうかは、記事だけでは判断できない。
それでも、パチパチという音で、とあるくらいなのだから、焚き火効果なのだろう。
そうだとして、そのアナログディスクにおさめられている音楽、音が、
温かさとは無縁のものであっても、パチパチという音で心が温かくなるのか。
仮にそうだとしたら、音への感受性はそうとうに違うところがあるように思える。
少なくとも私とは、はっきりと違うわけだ。