真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その10)
コーネッタを鳴らすKT88のプッシュプルのプリメインアンプについて、
具体的に考えてみる。
出力はどれだけ欲しいのか、となると、50Wは欲しい。
コーネッタは、さほど高能率スピーカーではない。
これは、あくまでも昔の基準でのことであって、
いま市販されているスピーカーシステムとの比較では高能率となる。
それでも私の感覚としては、能率はやや低め、ということになる。
アンプの出力は音場の再現と大きく関っている。
オペラを聴くとよくわかる。
歌手がソロで歌っている。
さほど大きくない音量では、出力の低いアンプであっても、
クォリティの高いアンプであれば、気持よく鳴ってくれるのだが、
そこに合唱が加わって、クレッシェンドしていくと、音場がぐしゃっとくずれることがある。
出力に余裕のないアンプに起りがちな現象である。
だからコーネッタに50Wの出力というのは、最低限といってもいい。
私の部屋はさほど音量が出せるわけではない。
それでも50Wは欲しい、と考えている。
もっと音量を出せる環境であれば、出力はもっと欲しいところだ。
75Wの出力といえば、マッキントッシュのMC275がそうである。
規模としては、一つの目安となる。
MC275をベースに、ラインアンプ(これも管球式)で、
トーンコントロールを装備したプリメインアンプとなると、かなり大型になる。
自家用として使いたくない大きさになるはずだ。
そこまでなるならば、セパレート形式のほうが、
パワーアンプを目につかないところに設置すれば、ずっとすっきりする。