Digital Integration(本とiPhoneと……・その4)
1984年、Appleからマッキントッシュの発表は、
The computer for the rest of usであった。
それまでのコンピューターは、専門家が使うモノというイメージが強かった。
つまり、The computer for the specialistだった。
1982年、CDの登場も、同じだったのかもしれない。
アナログディスクが全盛時代は、
家庭の中でのオーディオの位置は、お父さんの扱うモノだったことが多い。
すべての家庭でそうだったわけではなくても、
お父さんの許可がなけれは触れない、という話をきいたこともある。
なんとなく扱いがめんどうなモノという印象が、そのころはまだあった。
CDは、そんな印象を消し去ってくれたのではないだろうか。
ある時期まで、オーディオはオーディオマニアのモノだった。
ディスクではなくテープに関しても、
カセットテープが登場し、普及し、さらに日本のメーカーの努力によって、
ある程度の音質にまで向上したことで、
オープンリールテープまでは、お父さんの扱うモノだったけれど、
お父さん以外の家族が扱えるモノになっていった。
カセットテープもCDの登場も、サイズが小さくなったことが大きい。
CDがLPと同じ30cmのサイズだったら、どうだったろうか。
カセットテープにしても、オープンリールテープ並の大きさだったら……。
1984年に登場したマッキントッシュは、コンパクトだった。
最初のMacがふたまわり以上大きなモノだったら、
そのGUIがどんなに素晴らしいものであっても、生き残れただろうか。
あのサイズであったからこそのThe computer for the rest of usである。
ここでもスティーブ・ジョブズの言葉を引用しておく。
コンピューターは個人の道具ではない、と。
個人と個人をつなぐための道具である、ということを。
その道具としての適切なサイズがあっての“for the rest of us”だ。