オーディオにおけるジャーナリズム(その37)
スピーカーシステムの特集号、アンプの特集号で、
それぞれスピーカーシステム、アンプがある数以上集められて、
複数の筆者による試聴記が掲載されることによって誌面で語られるのは、個々のオーディオ機器の「性能性」である。
ここで「機能性」が語られることはほとんどない。
これは試聴テストという企画の性格上、しかたのないことである。
それでも、いちどコントロールアンプの特集号で、
それぞれのコントロールアンプの機能(フィルター、トーンコントロール、ヘッドアンプなど)のテストを、
柳沢功力氏にやってもらったことがある。
とはいうものの、当時は「機能性、性能性、効能性」ということを考えたうえでの機能テストではなくて、
せっかくコントロールアンプについている機能だから、一度は全部試してみたいし、試してもらおう、という、
どちらかといえば興味本位からお願いしたわけだ。
インプットセレクターとボリュウムぐらいしか機能のついていないコントロールアンプだと楽だが、
トーンコントロールにターンオーバー周波数の切替えがついていたり、
ヘッドアンプも入力インピーダンス、ゲインの切替えがあったりしていくと、
意外に時間を必要とする試聴になっていく。
地味な割には、めんどうな試聴ということになる。
けれど、いまは、この「機能性」についてきちんと誌面で語っていくことは、
「性能性」と同じぐらいに扱っていくべきことだと思う。