タンノイはいぶし銀か(その7)
7月、8月、9月のaudio wednesdayで、タンノイ・コーネッタを鳴らした。
来られた(聴いた)方から、いぶし銀ですね、という感想はなかった。
タンノイ・コーネッタとつい書いてしまうけれど、
昔からのステレオサウンドの読者には説明の必要はないであろうが、
タンノイのオリジナルなわけではない。
ステレオサウンドの企画で生れたフロントショートホーン付きコーナー型エンクロージュアに、
10インチ口径のタンノイの同軸型ユニットをおさめたモノを、コーネッタと呼んでいる。
この呼称が通用するのは、日本ぐらいのはずだ。
とはいうものの、タンノイ・コーネッタと書きたくなるのは、
いいスピーカーシステム、
もっといえばタンノイのスピーカーシステムとしても、いいモノであるからだ。
そのコーネッタの音は、五味先生も高く評価されていた。
まがいもの、という人たちがいるのは知っている。
この人たちは、ほんとうにコーネッタの音を聴いているのか。
聴かずに、ステレオサウンドの記事だけで判断しているのではないか。
ひどい人になると、井上先生のことを、スピーカーの素人と書いている。
何も知らないということは、ホント、シアワセなことだ。
いぶし銀と感じていたけれど、黙ってただけなのかもしれない。
でも、いぶし銀と感じさせる音であったならば、
なんらかの反応、感想はあったはずだ。
別項で引用するために、ステレオサウンド 94号をひっぱり出している。
94号の特集は「いまこれだけは聴きたい’90エキサイティングコンポーネント」で、
プリメインアンプ×スピーカーの相性テストで、タンノイのスターリングが、
20万円以上のプリメインアンプ七機種で鳴らされている。
試聴しているのは、井上先生、柳沢功力氏、傅 信幸氏である。
柳沢功力氏の文章のなかに、いぶし銀が出てくる。
井上先生、傅 信幸氏のところには、いぶし銀は出てこない。