コーネッタとケイト・ブッシュの相性(その6)
(その3)で、コーネッタに搭載されているHPD295Aの低音について触れた。
過大な期待をしているわけではないが、もう少し良くなってくれれば、とやっぱり思う。
HPD295Aの低音への不満は、どこに起因しているのか。
心当たりは、コーネッタを鳴らす前からあった。
HPD295Aにはじめて触れたのは、ステレオサウンドだった。
なぜか一本だけあった。
それまでEatonにおさまっている状態、
つまりユニットの正面はみたことはあっても、
ユニットを手にとってすみずみまで見ることはなかった。
HPD295Aで、まずびっくりしたのは、マグネットカバーの材質だった。
それまで、なんとなく金属製なのかな、と思っていた。
実際は、プラスチック製だった。
このマグネットカバーは、フェライト化されたときからなくなっている。
カンタベリー15で、アルニコマグネットを復活したが、
マグネットカバーはなしのままだった。
ユニット単体を眺めているだけならば、マグネットカバーはあったほうがいい。
けれど、音を鳴らすとなると、このカバーは邪魔ものでしかない。
たとえ材質が金属で、しっかりとした造りであっても、
磁気回路はカバーのあいだには空間がある。
ここが、やっかいなのだ。
コーネッタを手に入れたときから、
マグネットカバーを外して鳴らそうと思っていた。
7月、8月のaudio wednesdayでは、
とにかくコーネッタの音を聴きたい、という気持が強かった。
三回目となる9月のaudio wednesdayでは、
最初からカバーを外すつもりでいた。
作業そのものは特に難しいことではない。
けれど、コーネッタの裏板は、けっこうな数のビスで固定されている。
ユニットがバッフル板についている状態では、
カバーを取り付けているネジは外せない。
一般的な四角いエンクロージュアであれば、その状態でもなんなく外せることがあるが、
コーナー型ゆえに、ドライバーが奥まで入らない。
ユニットを一旦取り外してカバーを取り、またユニットを取り付け、
裏板のネジをしめていく。
エンクロージュア内部の吸音材はグラスウールで、
作業しているときも、作業後も腕がチクチクしていた。
それでも、出てきた音を聴けば、そんなことはどうでもよくなる。
低音の輪郭が明瞭になる。