Date: 8月 10th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY
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コーネッタとケイト・ブッシュの相性(その3)

ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIES 4で、
菅野先生はHPD295Aの低音について、
《解像力が少し弱くてあまりリズミカルには躍動しない》といわれているし、
瀬川先生も低音は《少し重くなります》という評価だった。

これはブックシェルフ型エンクロージュアに入れての評価ではなく、
2.1m×2.1mの平面バッフルに取り付けての試聴の結果である。

7月のaudio wednesdayで鳴らした時も、
低音に関しては同じ印象を受けた。

量的には出ているけれど、確かに解像力が弱い、やや不明瞭になる、とはいえる。
それでも低音は、意外にものびているからこそ、
もう少し澄んだ低音を響かせてくれれば──、とないものねだりをしたくなる。

だから菅野先生は、ジャズのベースがドスンドスンという響きになる、と、
瀬川先生はジャズを鳴らすには方向が違うような気がする、といわれている。

コーネッタにおさめた状態でも、HPD295Aは、まさにそうだった。
でも、それが特に不満というわけではなかった。
ただ、ケイト・ブッシュには向かないだろう、ということだった。

ケイト・ブッシュは、リンゼイ・ケンプに弟子入りしている。
パントマイムを、デビュー前にやっていた。
そのことは、ケイト・ブッシュのミュージックビデオを見ると伝わってくる。

20代のころ、ケイト・ブッシュについて、なんでもいいから知りたい時期だった。
レーザーディスクも、テレビを持っていないにも関らず買った。
友人宅に持っていき、見ていた。

ストーリー仕立てといっていいのだろうか、そういうミュージックビデオもあったし、
舞台を思わせるミュージックビデオもあった。

後者のそれを見ていて、
これがケイト・ブッシュが表現したかった世界? と思うこともあった。
動くケイト・ブッシュを見る楽しみはあった。
けれど、当時の私にとっては、それ以上ではなかった。

LPやCDで音だけで聴いているほうが、
ずっとケイト・ブッシュの魅力を堪能できる。
それはいまも変らないが、コーネッタで聴いて、少し変ってきた。

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