境界線(その15)
別項で書いていることを、ひさびさに試そうと考えている。
池田圭氏の「盤塵集」にあったことの追試である。
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このところ、アンプの方ではCR結合回路の全盛時代である。結合トランスとかリアクター・チョークなどは、振り返っても見られなくなった。けれども、測定上の周波数特性とかひずみ率などの問題よりも音の味を大切にする者にとっては、Lの魅力は絶大である。
たとえば、テレコ・アンプのライン出力がCR結合アウトの場合、そこへ試みにLをパラってみると、よく判る。ただ、それだけのことで音は落着き、プロ用のテレコの悠揚迫らざる音になる。
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メリディアンの218の出力に、ライントランスの一次側巻線を並列に接続する。
トランスの一般的な使い方ではない。
トランスの二次側巻線から出力を取り出すわけではない。
あくまでも一側側巻線が218の出力に並列になるだけのことだ。
ここで考えているのは、トランスの設置場所である。
これまで、この項で書いてきているように、
例えばメリディアンの218をアンプに接続する場合、
私はアンプまでのラインケーブルを含めて、218の領域と考える。
その場合、トランスは218の出力に近い位置にもってくるべきか、
それとも後続のアンプの入力に近い位置もってくるべきか。
どちらにしても、アンプまでのラインケーブルを218の領域と考えているのだから、
トランスの位置は、218領域内ということになる。
それでも、1.5mほどのラインケーブルのどちら側に持っていったらいいのか。
結果は両方試して音を聴いて判断するしかないのだが、
それでも音を出すためには、最初どちら側に決めて配線する必要がある。
最終的に音で判断するのだから、そんなことで悩まずにまずは音を出せばいいじゃないか──。
たしかにそのとおりである。
それでも性格的に、理屈的にはどちら側なのかを考えてから試してみたい。