4343と国産4ウェイ・スピーカー(その15)
ネットワークにおけるコイルの、音質に与える影響は、
クロスオーバー周波数が下がれば下がるほどコイルの値も大きくなり、それに比例していく。
直流抵抗値も増えていく。
コイルの値は、スピーカーのインピーダンスと関係し、インピーダンスが低くなれば、
同じクロスオーバー周波数でも、小さい値ですむ。
いまでこそパワーアンプの安定度が高くなったため、4Ωのスピーカーがかなり増えているが、
4343の時代(1976年から80年にかけて)は、スピーカーのインピーダンスといえば8Ωであったし、
4Ωのものは、極端に少なかった。
現代の4343といえる4348のウーファーとミッドバスのクロスオーバー周波数は、
4343と同じ300Hzだが、インピーダンスは6Ωと、すこし低くなっている。
4348の弟機にあたり、4348と同じウーファー1500FEを搭載している4338は、
ミッドレンジとのクロスオーバー周波数が700Hzと高めになっているため、
システムとしてのインピーダンスは8Ωだ。
4343が6Ωだとしたら、コイルの値も小さくなり、
4343の評価もかなり違ったものになっていた可能性もあるように思う。
4343登場と相前後して、アメリカのパワーアンプは、SAEのMark2500、GASのAmpzilla、
マランツのModel 510M、マークレビンソンのML2Lなどが登場しているから、
6Ωとして設計されていたとしても、アンプの選択に困ることはなかっただろう。