TANNOY Cornetta(その24)
いうまでもなく、ここでのそれぞれのアンプの音については、瀬川先生の個人的な印象である。
これらのアンプを聴いたことのある人すべてが、瀬川先生と同じに感じるわけでもないだろう。
マランツのModel 7やModel 2、Model 9で聴いた音が、
なんらかのレコードや曲名と、深く結びついて耳の底にずっと焼きついている──、
そういう人もいるとは思う。
それでも、瀬川先生がいわんとされるところが、よくわかる、といいたい。
私は、マッキントッシュ、マランツ、JBLのアンプを、
それぞれ別の場所で、別の時期に聴いたことは何度かある。
JBLのSG520は、それほど長い期間ではないが、自分でも使っていたことがある。
でも、ほぼ同時期に、同じ場所できいたという経験はない。
それでも、なんとなくわかる気がする。
それに、なんらかのレコードや曲名と結びついた記憶がないから、
優れたアンプではない、ということでもない。
アンプとしての優秀さとは、直接的な関係はない、ともいえるし、
当時のマッキントッシュ、マランツ、JBL、
これらのなかではマランツがもっとも優秀なアンプだった、といえよう。
このことは、アンプだけの話ではないように、いまも感じている。
スピーカーにしてもそうだし、いまもそうだ、と感じているところがある。
オーディオ機器として優秀であるのならば、
それで聴いたなんらかのレコードや曲名と音とが、耳の底に焼きつくはずなのだが、
現実にはむしろ違う、と感じることが多すぎる。
蘇音器ではなくなってきている、ともいえるのは、なぜなのか。