オーディオと「ネットワーク」(SNS = SESか・その12)
ある人(Aさんとしておこう)が、ある人(Bさん)のところに行った。
ずいぶん前のことだ。
もちろん二人ともオーディオマニアで、そのころはどちらも自分のサイトを持っていた。
Aさんが、Bさんの音について、自身のサイトで、オフ会の様子を公開した。
ずいぶん褒めているな、と感じた。
Aさん、Bさんとも知人だった。
どちらの音も聴いている。
だからBさんの音を、Aさんは、こんなふうに評価するのか、と不思議に思った。
それからしばらくしてAさんと話すことがあった。
Aさんいわく「 Bさんの音、あれじゃダメだね」と。
サイトで公開したこととずいぶん違うじゃないか、とはいわなかった。
Bさんの音は、確かに、そういう面を多分にもっているからなのだが、
それにしても、この人(Aさん)は、彼のサイトを読んでいる人に対して、
どういう気持で、オフ会のこと、Bさんの音について書いたのだろうか。
親しき仲にも礼儀あり、ということなのかもしれない。
いくらひどいと感じても、そのまま相手に伝えたり、
サイトで、その音について書いたりするのは憚りがある──、と考えてのことだろうか。
ならば黙っておけばいいじゃないか、と私は思う。
社交辞令的な美辞麗句を、自身のサイトで公開する。
Aさんの、その文章をとうぜんだがBさんも読む。
Bさんは嬉しく思ったはずだ。
Bさんを直接知らない、Bさんの音を聴いたことのない、
Aさんのサイトを読んだ人は、Bさんの音は、なるほど素晴らしいのか、と思う。
それは読み手の勘違いではなく、書き手がそう書いているからだ。
これは私が知っている一例なのたが、
ほんとうに一例にすぎないのだろうか。