スメタナ 交響詩「わが祖国」(その2)
めったに聴かないのだが、
十年に一度くらい無性に聴きたくなることがある。
そういうときは、クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団による、
1984年のライヴ録音のオルフェオ盤をひっぱり出して聴く。
クーベリックは、バイエルン放送交響楽団の前に、
ボストン交響楽団と1971年に録音したものが、よく知られている。
いまも名盤として、SACDにもなっている。
私がクーベリックの「わが祖国」を聴いたのは、
バイエルン放送交響楽団のものが最初だった。
それからしばらくしてボストン交響楽団との録音も聴いた。
どちらがいいとか悪いとか、そういうことではなく、
私にはバイエルン放送交響楽団との演奏(録音)が、印象深い。
その後、チェコフィルハーモニーとの録音も出ている。
世評は、ひじょうに高いけれど、私は聴いていない。
私にとって「わが祖国」は、バイエルン放送交響楽団のがいい。
このバイエルン放送交響楽団との「わが祖国」は、
ステレオサウンドの試聴室で、であった。
山中先生が試聴ディスクとして持参されたのを聴いたのが、最初である。
「モルダウ」をかけられた。
試聴ということを忘れそうになるくらいに、熱いものを感じた。
クーベリック晩年のチェコフィルハーモニーとの「わが祖国」は、
聴けばきっと素晴らしい、と思うであろう。
そうであっても、うまく説明できないのだが、
私にとって「わが祖国」はクーベリック/バイエルン放送交響楽団がいい。