Date: 2月 16th, 2020
Cate: ジャーナリズム, ステレオサウンド
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編集者の悪意とは(その22)

スピーカーシステムの試聴、
それも数十機種集めての試聴ともなると、難しい面が出てくる。

スピーカーシステムが一本(一組)であれば、
じっくりと時間をかけて、スピーカーの設置位置、設置方法をあれこれ試してみて、
さらにアンプやスピーカーケーブルも交換して、という聴き方が可能だ。

だがスピーカーの数が増えていけば、そんなことをやる時間的余裕は、
スピーカーの数に比例して削られていく。

結局、ステレオサウンドにおけるスピーカーシステムの総テストでは、
リファレンススピーカーの設置位置が、すべてのスピーカーの設置場所になる。

スピーカーによって、もう少し後の壁に近づけたり、逆に離したりした方が、
それから左右との壁との距離も変えてみたほうが、いい結果が得られるのは十分考えられる。

それでも時間が問題となり、
その試聴室において、これまで、さまざまな試聴をしているオーディオ評論家の、
それまでの経験の積み重ねを信じての、スピーカーの設置位置となる。

ステレオサウンド 54号のスピーカーシステムの総テストでは、
黒田恭一、菅野沖彦、瀬川冬樹、三氏による試聴が行われている。

しかも合同試聴ではなく、三人別々の試聴であり、
さらに瀬川先生はスピーカーのセッティングをそうとう試されているのが、
試聴の方法、試聴後記、試聴記からもわかる。

以前のステレオサウンドがやれていたことを、なぜできないのか。
このことは、また別項で考えていきたい。

87号のスピーカーシステムの総テストでは、
マッキントッシュのXRT18を、そういうセッティングで聴くことをやってしまったら、
試聴の方法そのものが間違っている、ということになる。

けれど、一方では、XRT18だけ特別扱いになるのか、という意見もある。
ただXRT20、XRT18にしても、マッキントッシュ側から、
こういうふうに設置しろ、という条件が最初からある。
それに従ったまで、という考えもある。

他社製のスピーカーシステムにも、そんなふうにセッティングについて条件が出されていたら、
それに従っての試聴となるはずだ。

なので87号において、XRT18を特別扱いしたのかどうかは、微妙なところでもあるし、
特別扱いをしたということになるならば、
それは編集見習いのKHさんに、ヴォイシングに立ち合ってもらったところにある。

くり返しになるが、KHさんはXRT20ユーザーであり、
マッキントッシュにつよい思い入れをもっている人であり、
KHさんには、XRT18をよく鳴らしたい、という善意の気持があったのではないのか。

この善意の気持が強いほど、それに見合う実力が伴わなければ、
結果として悪意となってしまうことだってあるではないのか。

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