2,500,000円と125,000円(その15)
メリディアンの218は、手を加えるたびに、音が澄明になっていく感がある。
透明度が増していく、という感じではなく、澄んでいく音という雰囲気を漂わす。
私は218のキャラクターをいじろうとはまったく思っていない。
そう考える人は、218の部品を交換したりするのだろうし、
信号ケーブルや電源コードにしても、個性的な音の製品を選んでいくのだろう。
私は、ただただ218の可能性を抽き出したい、それだけを考えている。
今回の218における、その試みは成功した、といえる。
手を加えることは、自己満足で終りがちである。
audio wednesdayのような場で、比較試聴するということは、
あまりないのではないか。
自信はあっても、やはり音が出るまでは内心どきどきしている。
たいして違わなければ……、
そのぐらいだったらまだいいが、音が悪くなっていたら……、
その可能性だってなくはない。
218と218の比較試聴なのだから、いいわけはできない。
そんなそぶりは見せずに、鳴らす。
喫茶茶会記の218よりも、今回の218は、音が澄明である。
だから、音楽の表情が濃やかになる。
それにみずみずしい音でもあった。
喫茶茶会記のスピーカーはアルテックの2ウェイに、
JBLの075を追加した、変則的な3ウェイである。
なのに、といったら、アルテックに惚れ込んでいる方たちに失礼になるだろうが、
ラドカ・トネフの歌声が、こんなにもみずみずしく鳴るのか、と驚く。
マッキントッシュのMCD350とMA7900の組合せからは、どうやっても出せなかった音が、
いとも容易く出てきてしまった。
今回はトランスポートとしてMCD350を使い、
218の出力はMA7900のパワーアンプ入力に接続して、
ボリュウム、トーンコントロールは218で操作した。