世代とオーディオ(若い世代とバックナンバー・その3)
ここでのテーマとは関係ないが、バックナンバーということでは、
SNSで、一年に一度あるかないかくらいではあるが、
ステレオサウンドのとても古い号を手に入れた、
しかもとても四十年以上前のバックナンバーとは思えないほど状態がいい──、
そんな投稿を目にすることがある。
ステレオサウンドのバックナンバーは、かなり高い値がついていたこともある。
最近では、昔ほどの高値ではなくなっていても、
一桁の号数のステレオサウンドとなると、安くはない。
それに五十年前後立っているわけだから、美本といえるわけではない。
それでも、中には、非常に状態のいい古いステレオサウンドが、
古書店に並んでいることもある。
一桁の号数とまでいかなくとも、
20号から40号くらいまででも、きれいな状態のステレオサウンドはある。
古本を絶対に手にしたくない、という人の気持もわからないわけではない。
それでも古いステレオサウンドを読みたければ、
知っている人から直接譲ってもらわないかぎり、
誰が読んだかわからないステレオサウンドを買うしかない。
誰だってきれいなステレオサウンドを手にしたい。
私だって、そういう気持がないわけではない。
それでも、いざそういうステレオサウンド、
一度も読まれていないのではないか、
そう思いたくなるほどきれいなステレオサウンドもあったりする。
そんな時に、ラッキーと思う気持もあれば、
読まれなかったであろう、目の前にある古いステレオサウンドの号をみて、
さびしく思う気持もある。
本は読まれなくてもいい、
売れればいい、
そういう気持で本をつくっているのであれば、
きれいな古いステレオサウンドをみても、何も思わない、感じないのかもしれない。