メリディアン ULTRA DACを聴いた(その31)
CDプレーヤーに搭載されているデジタルフィルターの問題点、
プリエコー、ポストエコーの発生についてメーカーが指摘したのは、
ラックスが最初ではないだろうか。
1988年にラックスが出してきたD/AコンバーターのDA07は、
フルエンシー理論によるD/A変換を実現している。
この時、DA07のカタログや資料で、一般的なデジタルフィルターが、
プリエコー、ポストエコーを発生させてしまうことが指摘されていた。
原信号には存在しないプリエコーとポストエコー。
これらが問題となってきたのは、DA7の登場より後のことである。
確か、この時点ではフルエンシーD/AコンバーターはLSI化されていなかった。
その後、フルエンシーD/Aコンバーターは、
新潟精密がLSI化している。
FN1242Aである。
十年くらい前までは入手可能だったが、
いまでは新潟精密もなくなっているし、FN1242Aの入手も難しいだろう。
DA07は意欲作だった。
200W+200Wクラスのパワーアンプ並の筐体のD/Aコンバーターだった。
ペアとなるトランスポートDP07と組み合わせた音は、
ここでも意欲作ということばを使いたくなるものだった。
聴いていてすごい、と感じるところもあった、
欲しいという気持は起きてきた。
それでもDP07の大きさと恰好、
DP07とDA07を二つ並べたときに受ける印象は、
欲しい、という気持を萎えさせてしまうところも、私は感じてしまった。
いまになって、ラックスのDA07を思い出すのは、
メリディアンのULTRA DACを聴いてしまったからでもある。