Date: 6月 22nd, 2019
Cate: デザイン
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オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(KEF Model 303・その2)

難がなかったわけではない。
グリルに、しかもフロントバッフル側に数センチの破れがある。

出品者の説明には、入手した時からあった破れ、とある。
ということは、出品者の前に誰かが鳴らしていたわけで、
どんなに少なくとも私で三人目の所有者となるModel 303である。

四十年前のスピーカーで、
複数の人が鳴らしていて、しかも普及価格帯のスピーカーである。

程度がそんなにいいとは思っていなかった。
写真では、そこそこいいコンディションに見えても、
実際に実物を見ると……、ということはよくある。

しかも破れがあるのだから、まったく期待はしていなかった。
けれど、303が届いて、
四十年前のスピーカーを、初めて自分のモノとして眺めてみて、
ほんとうに四十年前に製造されたモノなのか、と思うほど、くたびれた感じがなかった。

輸入関税、輸送費などを考えると、Model 303は、
イギリスではいくらで売られていたのだろうか。
円とポンドの力関係も、いまとは違っていた。

Model 303の外観は、実に素っ気ない。
虚飾を排した──、そう表現すれば、なんとなくよさそうに思えても、
実のところ、製造コストを抑えるためであろうことはわかっている。

高価な材質は、どこにも使っていない。
そういう造り方のスピーカーであることはわかっていたから、
ある程度のくたびれ感、古びた感じはしかたないものとわりきっていた。

なのに、実物を前にして、えっ? と思ってしまった。
思ってしまったのに、わけがないわけではない。

十数年前に、あるオーディオ店に展示してあったJBLのS9500の印象があったからだ。

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