同軸型ウーファー(その5)
1980年だったか、ステレオサウンドの弟分としての月刊誌サウンドボーイが創刊された。
このころのステレオサウンドもそうだが、次作記事が載っていた。
特にサウンドボーイは、ほぼ定期的に次作記事があった。
伊藤先生のアンプ製作記事を筆頭に、
小林貢氏による過去のスピーカーエンクロージュアの製作、
それから高津修氏による、高津氏独自の製作記事があった。
高津修氏の製作記事の一つに、
ウェスターン・エレクトリックのバスレフ型エンクロージュア製作があった。
ウェスターン・エレクトリックが特許をもつバスレフ型で、
一般的なバスレフ型とは違い、
ウーファーの周囲をバスレフポートの開口部が取り囲むように並ぶ。
手元にサウンドボーイがないため、バスレフポートの数は忘れてしまったが、
八つ以上はあったように記憶している。
ウーファーの振動板の実効面積と、
複数のバスレフポートの開口部面積の和を同じにするのが、
この一風変ったバスレフ型の設計ポイントである。
高津修氏は、ユニットにエレクトロボイスを選択されていた、と記憶している。
興味は惹かれたが、残念ながら聴いていない。
実物はもちろん見ている。
バスレフの開口部がいくつものあるスタイル、
しかもユニットの外周にそってバスレフの開口部がいくつもあるスタイルは、
一般的なバスレフ型をみなれた目には、少々キワモノ的にも映った。
ウェスターン・エレクトリックが特許をもつ、ということをわかってみても、
バスレフポートからの不要輻射音のことなども考えると、
ウーファーからの音を濁らせることにもナルのでは……、そんなことも思ったりした。
このウェスターン・エレクトリックのバスレフ型は、
バッフルに穴を開けるだけで、そこに筒状のダクトが取り付けられているわけではない。
なので、ある種のマルチポートバスレフ型でもある。