平成をふり返って(その4)
東芝クレーマー事件についての詳細は、検索していただきたい。
私が書きたいのは、
この事件(なのか)の中心人物の個人サイトで公開された音声に関して、である。
東芝の渉外管理室の担当者の電話対応の録音は、衝撃的だった。
暴言を吐かれた、といったことが、そのサイトには書かれていた。
音声を公開しました、ともあった。
最初は聞く気はなかった。
当時はダイヤルアップ回線でインターネットに接続していた。
従量制だったから、そんなものを聞くのに、わざわざ接続するのもなぁ……ぐらいだった。
それに大袈裟に書いてあるものだとばかり思っていた。
先に聞いた友人から、驚くよ、という連絡があった。
ほんとうかなぁ、と疑いつつも聞いてみると驚く。
東芝のビデオデッキを購入し、修理を依頼し、個人サイトを公開した人物と、
東芝のどちらに非があるのか、そういうことは全部吹き飛ぶほどに暴言(恫喝に近い)だった。
この人物が東芝に対して要求していたことは、
クレームだったのか、コンプレイントだったのか。
別項『「複雑な幼稚性」が生む「物分りのいい人」(その56)』で書いているように、
クレーム(claim)とは、原語では、正当な主張、もしくは請求の意味であり、
いまの日本で一般的に通用しているクレーム、
つまり英語のclaimではなく、日本語のクレームは、英語のコンプレイント(complaint)である。
コンプレイントは、苦情、不平である。
東芝クレーマー事件の「クレーマー」は、
コンプレイントのほうであろう。
けれど渉外管理室の担当者の暴言によって、
コンプレイントはクレームへとなっていったのか。
東芝クレーマー事件以前にも、同じようなことは、各メーカーでもあったのかもしれない。
けれど、それらは表に出てこなかった。
関係のない人たちが知ることはまずなかった。
けれどインターネットの普及は、そこを変えた。