メリディアン ULTRA DACを聴いた(その29)
40年前の、女性ヴォーカルに向くスピーカーといえば、
スペンドールのBCIIにしろ、QUADのESL、それからロジャースのLS3/5A、
他にもいくつか挙げられるけれど、共通していえることのひとつには、
ホーン型ではない、ということがある。
ホーン型スピーカーは、いまではハイファイ用には向かない、
そんな認識が広まっているようだ。
しかもそれはオーディオマニアだけでなく、
メーカー側も、そう考えているところが、残念なことに多数派のようである。
オーディオ評論家もそうである。
とあるオーディオ評論家は、オーディオショウで、
口のまわりに手をあてて、ホーン型はいわゆるメガホンなんですよ、
といいなから声を出して、ホーン臭い音になるでしょう、とやってたりする。
この程度の認識でホーン型を腐している。
ドーム型ユニットの性能向上もあって、
ホーン型の影は薄くなっている。
いったいいつごろからそうなっていったのか。
ふりかえるに、1980年代の終りごろからなのかもしれない。
そこにどういうことが関係してなのか、検証していくことがいくつもあるが、
まずひとつ思い浮ぶのは、CDの普及である。
当時はそんなふうには捉えていなかったが、
ここにきてメリディアンのULTRA DACを二度聴いて、そうなのでは……、と思うようになってきた。
不思議なことにULTRA DACだと、
アルテックの古典的なホーンからホーン臭さが、ほぼ消え去る。
角を矯めて牛を殺す的な音で、そんなふうにしているのでは、まったくない。
ホーンの良さを積極的に活かしながらも、ホーン臭さが、ほぼないように感じる。
一度目は不思議だった。
たまたまなのかとも思ったりもした。
二度目に聴いて確信した。