ブラームス ヴァイオリン協奏曲二長調 Op.77(その1)
ブラームスのヴァイオリン協奏曲はそれほど聴いているわけではない。
これまで聴いてきた録音は、それほど多いとはいえない。
一応、名演といわれる録音(1990年ぐらいまでは)は、ある程度は聴いている。
ムターのヴァイオリン、カラヤン指揮ベルリン:フィルハーモニーによる演奏(録音)は、
この曲をまだ聴いたことがないという人には薦めやすいのかもしれない。
全体に優美だし、ヴァイオリンの音色の魅力ということでも、ムター盤はいい。
ミルシテインのヴァイオリン、ヨッフム指揮ウィーンフィルハーモニーもいい。
ヴァイオリンの音色ということではムターとミルシテインとでは大きく違う。
違うことで、この曲の大事なところが浮び上ってくるような感じがする。
そんなふうに感じるのは、
ジネット・ヌヴーのヴァイオリン、
シュミット=イッセルシュテット指揮北西ドイツ放送交響楽団による1948年録音のライヴ盤の、
強烈な印象がいまなお残っているからだ。
ムター/カラヤン盤にはない強さがあり、
ミルシテイン/ヨッフム盤にある鋭さがより直進力を増している。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲は、こういう表情を求めるのか、と思うほどだった。
最初に聴いたのは日本フォノグラムによるLPだった。
録音はいいとはいえないが、オーディオファイル向けとして登場したように記憶している。
それからCDが出た。
フランスのレーベルSTILからも数年後に出た。
いまもいくつかのマイナーレーベルのCDで聴くことができる。
STILまでは聴いている。
そのあとに登場した盤は聴いていない。
どれがいいのかはいえないけれど、
同じ演奏が収められている以上、一瞬にして惹きこまれる人もいれば、
拒絶したくなる人がいても不思議ではない。
私は、ブラームスのヴァイオリン協奏曲といえば、
ヌヴー盤が記憶のなかで響いてくる。
消し去ることができないほど刻み込まれている。