メリディアン ULTRA DACで、マリア・カラスを聴いた(ウォルター・レッグのこと)
レッグ?
いったい何者なの?
そう思う人も、いまでは多いのではないか、と書いていて気付いた。
レッグとはウォルター・レッグ(Walter Legge)のことである。
クラシック音楽の録音について少しでも関心のある人ならば、
ウォルター・レッグについての説明は不要でも、
クラシック音楽を聴いてきていても、録音にまったく無関心な人、
そして世代によっては、レッグって? となるかもしれない。
レッグは1906年6月6日生れで、1979年3月22日に亡くなっている。
「レコードうら・おもて」の訳者あとがきには、こうある。
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本書はON AND OFF THE RECORDの全訳である。主体となっている文章は、世紀のソプラノとして知らぬ人のないシュヴァルツコップさんの亡くなられたご主人、故ウォルター・レッグ氏のものである。生前、EMIのプロデューサーとして、ヨーロッパのクラシック音楽界にその人ありといわれた人である。いわば舞台裏の指揮者であり、名伯楽であった。クレンペラーもカラヤンもカラスも、レッグ氏がいなかったらひょっとして今日の名声を持てなかったかもしれない。シュヴァルツコップさん自身についても(それは彼女自身が本書の冒頭のワーグナーの一節を引いて認めているところだ)。
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それからEMIのレコーディングのためのオーケストラとして、
1945年にフィルハーモニア管弦楽団を、1957年にはフィルハーモニア合唱団を創立もしている。
ステレオサウンド 68号の「プロデューサーとディレクターの仕事③)でも、
レッグのことが取り上げられている。
「レコードうら・おもて」の扉に、
1974年のラジオインタヴューでの一節がある。
「そうですね、いったい私って何なのてしょう?
音楽の産婆役ですね」
最後にシュヴァルツコップが引用したワーグナーの一節を書き写しておこう。
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あなたの愛がなかったなら
私はどうなっていたでしょう、
いつまでも子供のままでいたでしょう
あなたが私の眼をさまして下さらなかったなら。
あなたによって知ったのです、
善悪の判断のつけ方を。
あなたによって分かったのです、
心が何かということを。
あなたによって目覚めたのです
あなたによって学んだのです、
清らかに、自由に、勇敢に考えることを。
私はあなたによって花開いたのです!
〈ニュルンベルクのマイスタジンガー〉第三幕より