「新しいオーディオ評論」(その8)
そんな話をきいたのは、昭和のころだ。
いまは平成。しかももう平成も終る。
取次の支払いも昭和のころからすれば改善されていることだろう。
それでも株式会社ステレオサウンドは、物販に積極的だ。
これからもそのはずだ。
そして記事の広告化も積極的だ。
最近の例をあげれば、「老舗ブランドの現在」という連載だ。
この記事の扉には、「創業30年以上」を老舗オーディオブランドの目安と定め、とある。
30年で老舗なのか、と思うわけだが、
東京商工リサーチによれば、創業から30年以上、とあるのは確かだ。
それはわかったうえで、それでも30年で老舗? とおもう。
30年を老舗の目安すれば、いまでは数多くのブランドが老舗にあてはまる。
1988年創業のブランドでも、いまでは老舗となるわけだが、
私の感覚では、単に数字だけで老舗かどうかは判断できないところがある。
「老舗ブランドの現在」は、ほぼ広告とみている。
ここに登場するブランドは、国内・海外問わず、
メーカー、輸入元にステレオサウンド側から積極的に働き掛けてのもののはずだ。
これも憶断にすぎないのだが、
特集記事と、この「老舗ブランドの現在」とでは、記事の成り立ちにずいぶんな違いがあるはずだ。
何も私だけが気づいていることではないはずだ。
編集経験のある方ならば、とっくに気づいていることであろう。
出版社も金を稼がなければやっていけない。
それはよくわかっているつもりだ。
けれど、あからさますぎないか、と感じるわけだ。
やるのならば、もっとうまくやってほしい、と思うし、
そうまでして……、とも感じることから、
原田勲氏自身が、「原田勲氏が亡くなった日が、ステレオサウンドのXデーだ」ということを、
もっとも強く、誰よりも強く、そう捉えていると私はおもっている。