Date: 9月 16th, 2018
Cate: MERIDIAN, ULTRA DAC
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メリディアン ULTRA DACを聴いた(その20)

瀬川先生は、「澄明」と書かれる。「透明」ではない。
透明な音は、いまや世の中に溢れている、といってもいい。

ULTRA DACより高価なD/Aコンバーターは、いくつもある。
ULTRA DACより透明な音のD/Aコンバーターも、直接比較試聴したわけではないが、
いくつもある、といっていい。

現状において、これ以上透明な音はない、
そういえるぐらい透明な音があっても、
だからといって《鳴る音より音の歇んだ沈黙が美しい》といえるわけではない。
《無音の清澄感》があるともいえない。

ULTRA DACの静けさは、澄明である。
だからこそ、他の、D/Aコンバーターとは違うと感じたのだろう。

《ふと音が歇んだときの静寂の深さが違う》、
《音の鳴らない静けさに気品がある》、
そういう静けさをULTRA DACは再現してくれる。

情景が浮ぶのは、そういうところと深く関係しているのかもしれない。
しかも、その静けさは、決して鈍重な静けさではない。

機械的な雑共振を抑えるために、鉛が使われることがある。
トーンアームではオイルが使われることもある。

鉛の振動を抑える効果は確かにある。
粘性の高いオイルによるダンプ効果も確かにある。

けれど、それらの手法は、往々にして鈍重な静けさへとなる。
活き活きとした表情、ヴィヴィッドな音も、雑共振とともに失われていく傾向がある。
ULTRA DACに、そういう傾向は微塵も感じられなかった。

そういう音(静けさ)ゆえに、アルテックから沈黙したがっていたのだろう。

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