「複雑な幼稚性」が生む「物分りのいい人」(その59)
ステレオサウンド 208号では柳沢功力氏の「オーディオファイル訪問記」が始まっている。
柳沢功力氏には、すでに「ぼくのオーディオ回想」という連載がある。
そこに今号からもう一本連載が加わるわけだ。
一人の筆者が二本の連載は、あまりなかった、と記憶している。
しかもどちらもカラーページである。異例といえる。
和田博巳氏。
「続・ニアフィールドリスニングの快楽」と、
音楽欄の「SS NEW MUSIC GUIDE & ESSAY for audiophiles」とで、
二本の連載といえば確かにそうなのだが、
「SS NEW MUSIC GUIDE & ESSAY for audiophiles」はご存知のように五人の筆者による連載でもある。
ステレオサウンドの読み手は、ステレオサウンドが面白ければそれでいい──、
そのことはわかっているけれど、どうしても勘ぐりたくなる、というか、
勘ぐらせようと編集部がしているのか、(その58で書いたことを含めて)何も隠そうしていないのか、
何かの伏線のように感じてしまう。
もしかすると次号(209号)の「オーディオファイル訪問記」に登場するのは、
avcat氏なのではないか、と思ってしまう。
avcat氏はYGアコースティクスのスピーカーを鳴らされているはずだ。
だからこそ一回目の「オーディオファイル訪問記」には、
柳沢功力氏にとって対照的なスピーカーの鳴らし手の訪問だったのか。
そんな見方もできなくはない。
そうだとしたら、209号は期待できる。
209号は冬号だから、毎年恒例の企画で、私にとっては一年四冊のなかで、
もっともつまらなく感じる号だけれども、avcat氏が「オーディオファイル訪問記」に登場するのであれば、
全体のページ数からすればわずかであっても、ぴりっとさせる存在になる可能性もある。
209号の「オーディオファイル訪問記」、どんな人が登場するのか。