Date: 7月 25th, 2018
Cate: 「ネットワーク」
Tags:

オーディオと「ネットワーク」(モニター機の評価・その11)

それまでの専業オーディオ評論家から兼業オーディオ評論家への移行。
当時、早瀬文雄氏と何度か話している。

早瀬文雄氏は、兼業オーディオ評論家を増やしていくべきだ、と強く主張していた。
それがオーディオ界を健全にする、というのは同意するけれど、
実際にすべてのオーディオ評論家が兼業評論家となったらどうなるか。

1980年代後半は、CDプレーヤーが登場して数年、DATも登場していた。
デジタル技術はオーディオの世界に、それまで以上に入ってくることは誰の目にも明らかだった。

オーディオに関する技術は、デジタルの信号処理だけでなく、
他の技術においても、ますます高度に、複雑になっていくであろう。

それにオーディオ評論家が対応しているには、兼業では難しい──、
というのが私の意見だった。

兼業オーディオ評論家が増えていくのはいい。
けれど専業オーディオ評論家がいなくなったら、
専業オーディオ評論家が担当していたところまで兼業オーディオ評論家がやることになる。
そうなってしまうと本業がおろそかになってしまう。

兼業だったつもりが、いつのまにかオーディオ評論が本業になってしまうことだって考えられる。

兼業オーディオ評論家は、専業オーディオ評論家がきちんと役割を果してくれることで成り立つ。
なのに専業オーディオ評論家のレベルは、一部で低下しつつあった。

そこまでひどいレベルの低下ではなくとも、ステレオサウンドに書いている人でも、
次の世代と呼ばれていた人たちは、その上の世代と比較すれば……、
という点は否定できなかった。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]