五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(その22)
EL34はポピュラーな球だ。
マランツのパワーアンプに使われてきたことでも知られているし、
無線と実験、ラジオ技術でも自作アンプによく使われていた球だ。
とにかく扱いにくくない球だ、といえる。
ポピュラーな球だけあって、既製の電源トランスがそのまま使える。
電源トランス選び(外観を含めるとそれなりに苦労するけれど)に苦労することはほとんどない。
出力トランスにしても、同じだ。
特註しなければならないパーツを使う必要はない。
ソケットもそうだ。
市場に出廻っている球の中には、ソケットで苦労する場合がある。
珍しくてもそれほど高価でない球もあるが、そういう球の場合、
ソケットの方が球よりも高価だったりする。
EL34はオクタルソケットだから、そんな苦労はない。
こんなEL34を、不思議なことにマッキントッシュは一度も採用していない。
15W1は6V6、50W1と50W2は6L6G、20W2は6V6G、A116は6BG6、MC30は1614、MC60は6550、
MC240(MC40)は6L6GC、MC225は7591、MC275(MC75)はKT88/6550、
MC3500は6LQ6/6JE6Bである。
これだけの種類の出力管を使ってきていながら、EL34は一度も使っていないのは、
先にマランツが採用したからなのだろうか。
これには、マランツとマッキントッシュのあいだで暗黙の了解があったのだろうか。
マッキントッシュは三極管接続を採用していない。
EL34は三極管接続時のリニアリティの良さが知られている球でもある。
このへんにも、その理由があるのだろうか。