「複雑な幼稚性」が生む「物分りのいい人」(わかりやすさの弊害・その2)
前々から気づいていたけれど、
今回ステレオサウンド 207号を久しぶりに買って読んで、
あらためてそうだな、と感じたのは試聴記のパターンである。
試聴ディスクが、鉤括弧(「」)で括られている。
しかもそれだけでなく、試聴記のほとんどにほほ万遍なく鉤括弧付きでディスク名が出てくる。
これはほぼ間違いなく編集部からの要望というか指示なのだろう。
鉤括弧付きのディスク名がない試聴記は、
柳沢功力氏のB&Wの802D3、KISOアコースティックのHB-G1、
ソナス・ファベールのIL Cremoneseだけである。
これらを眺めていると、どことなく気持悪さを感じる。
ステレオサウンド編集部が、こういう試聴記がわかりやすいと考えているのか。