カラヤンと4343と日本人(その1)
昨年12月に別項で、このタイトル「カラヤンと4343と日本人」で書き始めたい、とした。
タイトル先行で、どんなことを書くのかはその時点ではほとんど考えてなかった。
半年経っても、そこは変らない。
でも何にも書いていかないと、書こうと決めたことすら忘れがちになるので、
思いついたことから書き始める。
五味先生と瀬川先生は、本質的に近い、と私は感じている。
それでもカラヤンに対する評価は、違っていた。
五味先生のカラヤン嫌いはよく知られていた。
瀬川先生はカラヤンをよく聴かれていた。
ここがスタートである。
カラヤンといえば、黒田先生が浮ぶ。
音楽之友社から「カラヤン・カタログ303」を出されている。
瀬川先生も黒田先生もJBLの4343を鳴らされていた。
この二人は、朝日新聞が出していたレコードジャケットサイズのオーディオムック「世界のステレオ」で、
カラヤンのベートーヴェンの交響曲全集の録音について対談されている。
JBLの4343という、フロアー型の4ウェイ、しかもペアで100万円を超えるスピーカーシステムが、
驚くほど売れたのは日本であり、
カラヤンのレコード(録音物)の売行きでも、おそらく日本が一番なのではないか。
こう書いてしまうと、日本人はブランドに弱いから、としたり顔で、
わかったようなことをいう人がいる。
そんな単純なことだろうか。
ステレオサウンドに書かれていた人では、岡先生もカラヤンを高く評価されていた。
1970年代、岡先生はARのスピーカーを鳴らされていた。
岡俊雄、黒田恭一、瀬川冬樹。
この三人の名前を並べると、ステレオサウンド別冊「コンポーネントの世界」での鼎談である。
「オーディオシステムにおける音の音楽的意味あいをさぐる」である。
この鼎談は、瀬川冬樹著作集「良い音とは 良いスピーカーとは?」で読める。