2018年ショウ雑感(その7)
ティアックが、ダブルカセットデッキW1200を発表したことだけは知っていた。
それ以上の関心を持っていなかったが、
OTOTENでのティアックのブースに入ったところ、
W1200の録音再生のデモが終ったばかりのところだった。
音は、なので聴けなかったが、スタッフの話を聞いていて、
やはりそうなのか、と思ったのはノイズリダクションに関することだった。
W1200の説明のところに《Dolby B NRで録音されたテープ再生》とある。
私がカセットデッキを買ったころは、ドルビー搭載が常識だった。
非搭載のカセットデッキはなかったはずだ。
ラジカセにはドルビーはついてなかった。
カセットデッキで、ドルビーのある/なしで録音・再生したりした。
ドルビーは確かに効果的だ。
ドルビーを使うことによる音質への影響も知っていた。
でも、そんなことはドルビーをONにしたときのノイズリダクション効果の前には、
些細なことのように、高校生だった私は感じていた。
少し経ったころから、ドルビーに代るノイズリダクション方式が、
オーディオメーカー各社から登場した。
それだけカセットデッキ(テープ録音・再生)には、
なんらかのノイズリダクションが前提でもあった。
W1200には、そういったノイズリダクションはついていない。
だからこそ《Dolby B NRで録音されたテープ再生》なのだ。
Dolby Bに近似の再生カーヴで、再生のみ対応している。
近似と書いたように、そっくりにすることはライセンス上無理だそうだ。
そして再生のみなのは、すでに必要なチップがないから、とのこと。
昨秋、「日本のオーディオ、これから(ブームだからこそ・その8)」で、
オープンリールデッキの新製品開発のプロジェクトのひとつが頓挫したことを書いた。
理由は、やはりノイズリダクションについて、である。
ノイズリダクション全盛時代のオーディオフェアを知っている者は、
過ぎ去った月日がどれだけ長いのかを、こんなことで実感していた。