丁寧な使いこなし(その4)
オーディオの使いこなしにおいて、
もっとも頭を悩ませるのは、スピーカーのセッティング位置ではないだろうか。
部屋の大きさとスピーカーの大きさによっては、
ほぼこの位置にしか置けない、という場合もある。
そういう場合は、その位置でやっていくわけだが、
部屋のどこでもスピーカーを置ける、という場合もある。
そうなると、いったいどこが、そのスピーカーにとってのベストポジションなのか。
それを探り出すためにはどうすればいいのか。
フロアー型で、しかも床に直接、何も介さずに置いている場合であれば、
スピーカーを移動して音を聴いて、どこがベストなのかを探っていけばいい。
けれど、フロアー型でもスピーカーと床とのあいだにいろんなアクセサリーが挟まっていたり、
なんらかのブロックやベースの上に置かれていることだってある。
そうなるとスピーカーの移動は、とたんに難しく、面倒になってくる。
いま、いい感じで鳴っている。
スピーカーをとくに動かす必要はないようにも感じている。
それでもオーディオマニアはならば、もっといい位置があるのではないだろうか……、
そう思ってしまう。
そんなことまったく思わないという人は、少なくともオーディオマニアではない。
そう思っても、スピーカーを実際に動かすのは、大変なことだ。
ひとりでやるのは、特に大変である。
だからといってオーディオ仲間数人に来てもらって、というのも、
そう何度も何度も来てもらうわけにはいかないし、
ひとりでじっくりとやっていきたい、と思う人だっている。
20代のころ、スピーカーのセッティング位置をどうすれば探り出せるのか。
平台車にスピーカーを乗せて、部屋のあちこちに移動してみるということを考えたことがある。
そうやって音を聴いて、よさそうに思えた位置にスピーカーを置いて、
じっくりとセッティングを見直し、チューニングしていく。
これといった問題はない──、思いついた時にそう考えていた。
けれど実際はそうではなかったことに、すぐに気づいた。