Hi-Resについて(その12)
岡先生の文章を書き写していて、
ここに関しては、いまはどうなんだろう……、と思うところがある。
《中・低域がのびていると、高域はおとなしくきこえるし、低域が貧弱だと高域が目立つということはだれもが体験しているはずである》
1981年の時点でも、
プリメインアンプ、コントロールアンプからトーンコントロールが省略されつつあった。
いまはそれ以上といっていい。
それにそのころは、スピーカーを自作する人がまだまだいたし、
市販のスピーカーシステムにもレベルコントロールがついているのが多かった。
トーンコントロール、レベルコントロールなどを積極的にいじってきた人ならば、
帯域バランスに起因することは体験しているであろう。
けれどスピーカーシステムからレベルコントロールもなくなってきている。
スピーカーを自作する人も減ってきている。
そうなると帯域バランスの変化による音の違いを、
もう共通体験として語れなくなってきているのかもしれない──、
そんなことを思いながら書き写していた。