Date: 3月 25th, 2018
Cate: ディスク/ブック
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Hotel California(その1)

イーグルスの“Hotel California”のことを知ったのは、
ステレオサウンド 44号だった。

ロック小僧でなかった私は、イーグルスの名前は知っていても、
どのレコードもきいたことはなかった。

ステレオサウンド 44号の特集はスピーカーシステムの総テストで、
黒田先生が使われた十枚の試聴レコードの一枚が、“Hotel California”だった。

なので、当り前のように優れた録音のレコードだ、と思うようになっていた。
黒田先生は、こう書かれていた。
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 イーグルスの、レコードできける音は、重低音を切りおとした独特のものだ。そのために、ベース・ドラムなどにしても、決して重くはひびかない。そういう特徴のあるサウンドが、あいまいになっては、やはり困る。そして、ここでとりあげた2分の、前半の50秒は、インストルメンタルのみによっているが、その後、ヴォーカルが参加するが、そこで肝腎なのは、うたっている言葉が、どれだけ鮮明にききとれるかだ。なぜなら、「ホテル・カリフォルニア」はまぎれもない歌なのだから。
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さらに試聴ポイントして、五つあげられてもいた。

冒頭:左から12弦ギターが奏しはじめるが、この12弦ギターのハイ・コードが、少し固めに示されないと、イーグルスのサウンドが充分にたのしめないだろう。

冒頭から025秒:ツィン・ギターによって、サウンドに厚みをもたせているが、その効果がききとれるかどうか。イーグルスの音楽的工夫を実感できるかどうかが問題だ。

冒頭から37秒:ハットシンバルの音が、乾いてきこえてほしい。ギターによるひびきの中から、すっきりとハットシンバルの音がぬけでてきた時に、さわやかさが感じられる。

冒頭から51秒:ドラムスが乾いた音でつっこんでくる。重くひきずった音ではない。ドン・ヘンリーのヴォーカルがそれにつづく。声もまた、乾いた声だ。

冒頭から1分44秒:バック・コーラスが加わる。その効果がどれだけ示されるか。”Such a lovely place, such a lovely face” とうたう際の、言葉のたち方も問題になる。

“Hotel California”は、ステレオサウンド 51号にも登場している。
この号から始まった#4343研究で、
JBLプロフェッショナル・ディヴィジョンのゲーリー・マルゴリスとブルース・スクローガンが、
ステレオサウンド試聴室にて4343をセッティングしていく際に使ったレコードの一枚でもある。

“Hotel California”についてのマルゴリスの発言が載っている。
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イーグルスのホテル・カリフォルニアについては「このレコードはアルテックの604でモニターした音がしていますね。データは書いてありませんが、おそらくそうでしょう。」という。どうしてわかるのかと尋ねると「アルテックは帯域を少し狭めて、なおかつ中域が少し盛り上がり気味の周波数特性をしていますから、ミキシングのバランスとしては中域が引っ込みがちになることがあります。モニターの音と逆の傾向になることがあるのです。その分、高域が盛り上って聴こえます」と教えてくれた。そう思って聴くとたしかにハイ上りの音に思えてくる。
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私が“Hotel California”をきちんとしたかたちで聴くのは、
ステレオサウンドで働くようになってからだった。

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