シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その18)
すべてのコーン型ユニットが、平面バッフルで鳴らす音が最良の結果を生むとは限らない。
それでも5.5畳ほどのワンルームマンションに、
シーメンスのコアキシャルを1.9mw(縦)×1m(横)の平面バッフルにとりつけて押し込んで鳴らしていた。
そんな経験をしてきた私は、まずは平面バッフルという意識が強い。
それだけのスペースが用意できれば、2m×2mという、
平面バッフルのサイズとしては、ひとつの到達点といえるサイズにしたいけれど、
それだけのスペースは無理である。
となるとサイズを小さくするしかない。
平面バッフルのサイズが小さくなるということは、低音の再生限界が上へと移動してくることでもある。
昔のスピーカーの教科書には、平面バッフルの説明があり、
次に後面開放型の説明があった。
平面バッフルの左右を後に折り曲げるようなかっこうにすることで、
奥行き方向には長くなるものの、横幅はぐんと狭くできるのが後面開放型という説明だった。
それで後面開放型から平面バッフルそのままの音が出てくればいいわけだが、
世の中そううまい話はなく、後面開放型には平面バッフルにはない問題点が生じる。
ならば平面バッフルのサイズとともに、形状を工夫することで、
コンパクト化はできないのか──、思い続けている。
セレッションのSL600のことは、これまで何回か書いている。
SL600には、System 6000という専用ウーファーがのちに登場した。
System 6000は、いわゆるエンクロージュアをもたないサブウーファーだ。
必要最小限のサイズのバッフルにウーファーが取り付けられている。
これだけではどんなにやっても低音再生は無理だから、前後に一基ずつ配置されている。
この方式の場合、平面バッフルのサイズは前面(後面)から見たサイズだけでなく、
ユニットが取り付けられているバッフルの厚み(これが二基分)と、
前後のバッフルの間隔、これらがすべてサイズとして含まれる。
平面バッフルにとって、バッフルの厚みもサイズのうちである。