Date: 12月 17th, 2017
Cate: 瀬川冬樹
Tags:

確信していること(その28)

ステレオサウンドで働くようになって、
ウェスターン・エレクトリックの真空管の音にふれる機会があったし、
特別なことでもなくなってきていた。

ウェスターン・エレクトリックの300Bよりも、
シーメンスのEdに魅力を感じていた私でも、音を聴けばウェスターン・エレクトリックの300Bだった。

オーディオのベテランほど、ウェスターン・エレクトリックの真空管を高く評価していた。
サウンドボーイの編集長のOさんも、そのひとりだった。

Oさんが話してくれた。

ウェスターン・エレクトリックの真空管の音は、ボケている。
トランジスターアンプのほうが、音の輪郭はボケずに鮮明である。
けれど、ウェスターン・エレクトリックの音は、芯がきちんとあるし、
そこはボケていない。
トランジスターアンプの音とは正反対である、と。

マイク野上さんの、ライカのレンズの話とまったく同じことだ。

ライカで撮った写真にシャープネスをかけると同じことを、
ウェスターン・エレクトリックの真空管のアンプに対してはできないが、
パソコンでのシャープネスという処理を、音の世界では耳(聴き手の頭)で行っているとしたら……。

そしてライカのレンズのボケとは、グラデーションをきちんと捉えている、ということのはず。
だからこそ情報量が多いのではないのか。

「音楽・オーディオ・人びと」の巻頭の瀬川先生撮影の写真、
元の写真をスキャンしてシャープネスをかけたら、どう仕上がるのか。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]