30年ぶりの「THE DIALOGUE」(余談)
ステレオサウンド 52号、
瀬川先生による「JBL♯4343研究」は、
プリメインアンプで4343をどこまで鳴らせるか、という企画である。
「THE DIALOGUE」も試聴レコードの一枚で、試聴記の中にも何度か出てくる。
ラックスのL58Aの試聴記にも出てくる。
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たとえば「ザ・ダイアログ」で、ドラムスとベースの対話の冒頭からほんの数小節のところで、シンバルが一定のリズムをきざむが、このシンバルがぶつかり合った時に、合わさったシンバルの中の空気が一瞬吐き出される、一種独得の音にならないような「ハフッ」というような音(この「ハフッ」という表現は、数年前菅野沖彦氏があるジャズ愛好家の使った実におもしろくしかも適確な表現だとして、わたくしに教えてくれたのだが、)この〈音にならない音〉というようなニュアンスがレコードには確かに録音されていて、しかしなかなかその部分をうまく鳴らしてくれるアンプがないのだが、L58Aはそこのところがかなりリアルに聴けた。
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《一種独得の音にならないような「ハフッ」というような音》、
たしかに、そういう音が「THE DIALOGUE」にはある。
この「ハフッ」という表現を使ったジャズ愛好家──、
一関ベイシーの菅原正二氏なのではないだろうか。