シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その10)
ステレオサウンド 12号(1969年秋号)の新製品紹介欄に、
STEREOLA DPS100は登場している。山中先生が担当されている。
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とにかくこれまで接してきた各種のスピーカーシステムとはまったく異なる次元にあるシステムであることは確かで、しかもその再生音のもつ一種独特の強烈な魅力は忘れることのできないものであった。この音はちょっと表現しにくいのだがおなじみのこのユニットを使った小型システムとはまったく異なるやわらかでふくよかな品位の高い響きは中心部から放射状に部屋全体をくるうように拡がり、これまでのステレオサウンドとは、はっきり区別されるものだ。いわゆるシャープでリアルな音ではなく、まろやかにかもしだされたような音はレコードマニヤにとっては麻薬的な引力をもっているとでも言えばよいのだろうか、だいぶオーバーな表現となったがともかくグラモフォンマニヤには一聴をすすめたいスピーカーシステムである。
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聴いたことのない、おそらくこれから先も聴く機会はないであろうSTEREOLA DPS100。
どんな音なのかというのは、山中先生の書かれたもの、
61号特集での鼎談を読んでも、はっきりとはつかみにくいことこそが、
このスピーカーの特徴といえるのだろう。
STEREOLA DPS100のDPSは、
Delayed Phase Stereophonic の略である。
BOSEの901も、Delayed Phase Stereophonicといえるスピーカーである。