ケーブル考(銀線のこと・その17)
1980年代後半は、MC型カートリッジの光悦が、
幻の存在のように扱われはじめた時期である。
1970年代のHI-FI STEREO GUIDEに、光悦は掲載されている。
当時は、会社名は武蔵野音響研究所で、光悦が型番だった。
特別に高価なカートリッジではなかった。
1970年代は32,000円だった。
1981年には50,000円と80,000円とがあった。
その光悦が、いつのころからか、高価なカートリッジとなっていった。
光悦そのものについて、ここで書くつもりはない。
ただそのころ光悦は発電コイルに銀クラッド線を採用していた。
銀メッキではない。
光悦のカートリッジもまたラジオ技術で取り上げられることが多かった。
たいてい五十嵐一郎氏が新製品として紹介記事を書かれていた。
そのころのラジオ技術は手元に一冊もないので記憶に頼るしかないが、
銀クラッドの光悦の、五十嵐一郎氏の評価はなかなか良かったはずだ。
銀線と銀クラッド線は違うのはわかっている。
銀クラッド線のケーブルは聴いたことがない。
銀クラッドの光悦も聴いたことがない。
ただ五十嵐一郎氏の文章を読んでいると、
銀線の音を好まれていたるのかも……、と思ったことが何度もある。
実際のところ、どうだったのだろうか。