アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その12)
075にした音は、予想よりも、期待よりもよくなってくれた。
それでも、音楽を聴いていて、こちらの気合いがほんのちょっと入らないとでもいおうか、
(その1)、(その2)で書いているように、
この日の私は疲労感をおぼえていたし、
最初に鳴った音を聴いて「今日の私のようだ」と感じたのは、
075にした音を聴いても、拭いきれなかった。
音は滑らかで、よくなったけれど、
歌(私にとっては特にグラシェラ・スサーナの日本語の歌)を聴くと、
表情に溜めがないともいえるし、フラットな感じでもあるといえた。
そこで075の仰角を少し変えてみた。
それから位置を後方に少し移動した。
さらにあと少し移動した。
少しずつよくなってきても、それでも……、と気になるところは残っている。
そこで思い切って、075のボイスコイルの位置を、
アルテックのドライバーのボイスコイル位置とほぼ同じになるまで後方に下げた。
ここまで下げるとアルテックのホーン811Bが075にとって邪魔になってくるけれど、
頭で考える前に、音を聴くのがいちばんだし、075の重量は動かすのにしんどいわけでもない。
075の位置の微調整は今後行うにして、
ここまで下げた音は、
聴いているこちら(鳴らしているこちら)の目を覚してくれる音でもあった。
ここにきて、やっとこちらの調子が出てきた。
鳴ってきた音が、こちらの調子を引き出してくれた。
ジャズ好きな人は、075しかない、という人が昔は多かった。
いまはどうなのかは知らないが、アルテックの2ウェイの上にのせても、
075はやはり075だ、と感じた。
シンバルの音が、確かに魅力的なのだ。