Date: 10月 2nd, 2017
Cate: 107, KEF
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KEFがやって来た(その18)

アクティヴイコライザーのKUBEだけでもない、
アンプ側からみたスピーカーのインピーダンスを一定にするCLMだけでもない、
その両方を組み合わせているところが、
専用アンプを用意せずに……という条件での、ひとつのやり方といえる。

Model 107の音はまだ鳴らしていないから、
KUBEとCLMから成るハイブリッドクロスオーバーの効用がどの程度なのか、
耳で確かめることは、もう少し先になるが、
やはり気になるのは、
エンクロージュア上部に設けられているダクト開口部からの160Hz以下の低音が、
HEAD ASSEMBLYが受け持つ中高域にどれだけ影響を及ぼすのかである。

いわば、開口部からの音は、音のカーテンとして作用するのではないか。
そのことはレイモンド・クックも気づいていた、と思う。

通常のバスレフポートからの音の放射は、けっこうな音圧になることがある。
ヤマハのAST1のバスレフポートからの放射は、負性インピーダンス駆動ということもあって、
かなりのものだった。

そうなるとポート内でのノイズの発生が問題となってくる。
AST1ではポートの内側にフェルトが貼ってあった。
それも柔軟剤で仕上げたフェルトである。

無線と実験の当時の記事だったと記憶しているが、
ヤマハは柔軟剤もいろいろ集めてテストしたそうだ。
結果的には一般に市販されている柔軟剤を使用している。

バスレフポートの材質、形状(とくに開口部の形状)などは、
聴感上のS/N比に直接関係してくる。

ヤマハのAST方式やKEFのCoupled Cavity方式は、通常のバスレフ型以上に関係してくる。
そのことにレイモンド・クックが気づいていないわけがない。
それでもエンクロージュア上部に設けている。

たとえばトールボーイのエンクロージュアの前面上部に前向きに開口部をつければ、
上記のような問題はずっと軽減される。

音源の面積としても、HEAD ASSEMBLYとの距離もほとんど変らずに、
開口部の音の放射による中高域へのあおりを、そうとうに軽減できるはずなのに、
それでも、あの位置なのか。

そのことを考えれば考えるほどに、バイロイト祝祭劇場のことがイメージとして重なってくるし、
もうひとつのModel 107のセッティングへの関心が強くなってくる。

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