Date: 8月 13th, 2017
Cate: 「オーディオ」考
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コンポーネントの経済考(その1)

瀬川先生の「コンポーネントステレオのすすめ」には、
「コンポーネントステレオの経済学」という文章がある。

そこには「標準的な価格をしらべる」という見出しがあり、
ブックシェルフ型に限定したスピーカーシステムの標準的な価格、
フロアー型まで含めた標準的な価格、プリメインアンプ、チューナー、レコードプレーヤー、
セパレートアンプについての標準的な価格が挙げられている。

この標準的な価格とは、
たとえばスピーカーなら市場にある最低価格と最高価格の籍の平方根(√)である。

これを、瀬川先生は瀬川平方根理論といわれていた。
もっとも瀬川先生自身、《多分に遊びと冗談がまじっている》と書かれているが、
《意外にこれが役に立つ》ともいわれている。

この瀬川平方根理論は、
熊本のオーディオ店の招きが定期的に来られていた時にも話されていた。
そしてそれぞれのジャンルの標準的な価格あたりが、製品が揃っている価格帯でもある、と。

当時(1970年代後半からの数年)は、瀬川平方根理論は当てはまっていた、といえる。
でも、いまはどうだろうか。
価格差のダイナミックレンジは、当時よりもいまのほうが大きくなっている。

この価格で、よく作れるな、とへんな感心のしかたができる低価格帯のモノが増えている。
一方で、一千万円を超えるモノも珍しくなくなってきている。

それに当時は各価格帯に製品がうまいこと揃っていた、ともいえる。
でも、いまはどうだろうか。
歯抜けのような印象を受ける。

それがいいとか悪いとかではなく、価格というレンジにおける製品の分布のありように、
小さからぬ変化が見られる、ということだ。

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