オーディオ評論家は読者の代表なのか(その15)

レコード芸術別冊「名曲名盤500」。

レコード芸術がいつごろから、この企画をやりはじめたのかはっきりとは知らないが、
私がまだ熱心に読んでいた1980年代には、すでにあった。
そのころは500ではなく200曲少ない300だった。

レコード芸術で数カ月にわたって特集記事で、しばらくすると一冊の本として発売されていた。
もう手元にはないが、あのころ一冊買っている。

持っているレコードにはマーカーで色付けして、
持っているけれど選ばれていないディスクをそこに書きこんだり、
買いたい(聴きたい)ディスクには別の色のマーカーでチェックしたりした。

一年ほどでボロボロになってしまった。

いま書店に並んでいる最新の「名曲名盤500」を買おうとは思わない。
書店で手にとってみた。
いまは、こういうやり方なのか、とがっかりした。

ステレオサウンドのベストバイと同じ道をたどっている、とも思った。
何度も書いているように、ステレオサウンドのベストバイで、
私がいちばん熱心に読んだのは43号である。

43号のやり方が理想的とはいわないが、これまでのベストバイ特集の中ではいちばんいい。
熱心に読んだ。

それは時期的なものも関係してのことではあるが、
いま読み返しても43号のやり方は、評論家の負担は大きくても、
一度43号を読んできた者にとっては、それ以降のベストバイはものたりないだけである。

同じことを最新の「名曲名盤500」にもいえる。
評論家(書き手)の負担を慮ってのやり方なのだろう、どちらのやり方も。

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